2022.02.27
花嫁の父
（司会：犬塚 麻衣 さんより）
少しずつ春も近づいているこの頃。
これから結婚式もシーズンを迎え、
幸せなお二人のたくさんの笑顔に会えるのが楽しみです。
さて、結婚式といえば新郎新婦の新たな出発を祝う日ですが、
親御さんにとっては「子育ての卒業式」のような日ではないでしょうか。
旅立っていく子供たちの姿をみながら、親御さんの思いは、如何ばかりか。
そして私がいつも、つい目がいってしまうのは花嫁父の表情です。
その表情は、喜びと寂しさが入り混じったなんともいえない表情をされていて、
見ていて胸が熱くなります。
そんな父の、娘への思いにとても感動した先日の披露宴を紹介したいと思います。
お二人との打ち合わせの時に、新婦から
「実は、父がどうしても披露宴中に流したいという曲があって、
しょうがないからテーブルラウンドの時のＢＧＭだけ許可したんです・・。
その曲紹介を司会者さんにしてほしいと言っているのでお願いできますか」
という依頼がありました。
なんでも、新婦のご両親は山下達郎さんと竹内まりやさんの
ずっと昔から大ファンだそうで、その二人の楽曲を流したいとのこと。
個人的に私も好きだったのでそのことを伝えると
「父が喜びます！」と照れ臭そうに仰って下さいました。
そして迎えた当日。
司会台には新婦のお父様から、
楽曲の紹介の前にみなさんに伝えてほしい
というお手紙が置かれていました。
いよいよ、お二人が再入場し、テーブルラウンドがスタートする時に
「これより、お二人が皆様のテーブルにご挨拶に伺いますが、その前に
少々お時間を頂きまして、新婦のお父さまからのメッセージを代読させて頂きます。」
とアナウンス。
そのお手紙には、
新婦のご両親が山下達郎と竹内まりやというアーティストがずっと好きだったこと、
自分たちのせいで新婦は小さい頃から強制的に彼らの曲ばかり聴かせられてきたこと（笑）
交際中だった新郎も無理やり引きずり込んで4人でライブへ行った思い出、
そして最後に
「是非二人に音楽の贈り物をしたいと思い曲を選んだので
皆さんにもお付き合い下さい」と綴ってありました。
すると、ご両親が新郎新婦に贈る選りすぐりの曲がスタート。
懐かしの竹内まりやさんのウェディングソング、パイプオルガンの曲が流れると
会場からあぁ～という声と祝福の拍手。
新婦はちょっと恥ずかしそうに、でも涙を潤ませるような表情になり
それからまたすぐ笑顔になって、最初のテーブルへと進まれました。
親子のたくさんの思い出が詰まった曲を聴きながら
娘の輝く笑顔を嬉しそうに寂しそうに見つめていたお父様。
その姿に私もつい目を潤ませていると、お父様と目があって
「ありがとう」と口を動かすと共に、ピースサインをしてくださいました。
花嫁の父と新婦の絆をつなぐお手伝いが出来て、
私自身もたくさんの幸せを頂いた素敵な披露宴でした。
