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司会者ブログ

2022.11.30

25年間話さなかった兄と兄弟に戻れた披露宴のお話

(司会:大山 正美さんより)

「子供の頃はどこに行くにも大好きな兄の後ろをついて回っていました。
でも、中学1年生の頃に些細なことでケンカをしてから
今日までの25年間、会話をしていないんです。」

司会打合せの時にそう話した新郎。

披露宴の進行表を見ると、
新郎の中座エスコート役に「お兄様」と書かれていました。

「これを機に兄と仲直りしたくてエスコート役をお願いしようと思っているけど、
緊張するからやっぱりやめようかな」と新郎。
私は開口一番、「やりましょう!!」と言いました。

なぜなら、お兄様と仲直りするのは
結婚式当日が最初で最後の絶対的なチャンスと思ったからです。


結婚披露宴の司会をしていると、
新郎新婦をはじめ、2人にとってかけがえのないゲストや
ご家族皆様の特別な思いに触れる瞬間があります。

それは、ずっと心に留めていた思いを伝えたり、
普段は照れ臭くて言えない気持ちを伝えあったり、そんな瞬間です。

そしてそんな特別な時間のお手伝いができることは、
私の喜びの一つでもあります。


今回お会いした新郎も
ずっと心に溜めていたお兄様への思いを伝えられず、
長い間寂しい思いをしていました。

私は少しでも力になりたい、そう考えました。


こうして迎えた結婚式当日。

25年間会話をしていない兄弟の温度感ってどのような感じだろう、
そう思い、披露宴中、私は度々新郎お兄様の表情を見ていました。

そして「よし!いける!」と仲直りの成功を確信したのです。
なぜなら、新郎を見つめるお兄様の表情は常に柔らかく笑顔だったからです。


そしてついにその時がきました!

「実は新郎にもぜひ一緒に歩いてほしい方がいるんです。
その方は、、新郎のお兄様です!」と司会からお呼び出し。


すると、笑顔で新郎の元まで歩いてこられたお兄様。

新郎の25年分の思いを司会から伝え、
「仲直りの握手を見たい方は拍手をどうぞ!!」とゲストの皆様にもご協力いただき、
がっしりと兄弟で握手を交わすシーンとなりました。

握手.jpg


さらに、新郎からも「連絡先を教えてください!」と一言。
ずっと言えなかった思いをお兄様へ伝えた瞬間でした。


2人で仲良く扉の向こう側まで歩き、
こうして仲直り大作戦、大成功となったのですが、
忘れられないシーンがもう一つありました。


ご兄弟を見つめていたお父様、お母様の
言葉では言い表せない表情が私は今も忘れられません。


つい先日担当した新郎新婦のお話でした。